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[ 自動車・輸送機 ]
(2016/9/23 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、飛行機の空気抵抗などのシミュレーションにかかる時間を20分の1に短縮する技術を開発した。流体シミュレーションプログラム「FaSTAR(ファスター)」と、JAXAのスーパーコンピューター「JSS2」を組み合わせて計算速度を上げ、1条件にかかる時間を2分程度にした。航空機関連メーカーや大学などが活用すれば、航空機開発の効率化が期待できる。
飛行機開発では、風向きや姿勢などの条件を変えて取得した空気抵抗などのデータを1機体につき数万の条件で集める必要がある。現在は機体模型に風を当て空気抵抗を調べる風洞実験が主流。だが風洞実験では1日に200条件のデータを取るのが限界だった。
今回はファスターの改良とJSS2の稼働率向上で計算時間を短縮、1日に720条件のデータを取得できるようにした。これによって風洞実験後の問題解決について、短時間でシミュレーション可能。さらに航空機の開発初期から正確に完成時の状態を予測しやすく、機体の設計をやり直す手間を減らせる。
現在、飛行機が失速する直前に起きる危険な飛行状態の予測は、シミュレーションが難しいとされているが、今回開発した技術で予測を試みている。ロケットや地球への再突入カプセルなどの開発にも有効だ。
ファスターは2008年に開発が始まり、10年に初版が完成。航空学科を持つ国内の18大学3高等専門学校に研究・教育用途で貸し出しており、産業界でも活用が広がっている。
(2016/9/23 05:00)